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第44回 研究報告会

精神神経系薬物治療研究報告会

本財団が、公益財団法人に移行して初めての研究報告会が、平成23年12月2日(金)に 千里ライフサイエンスセンターで開催されました。
研究成果を発表される前年度の一般研究助成及び萌芽研究助成を受領された先生、 共同研究者、財団の役員等の先生及び聴講の方を合せて163名の参加がありました。

13:00から、鹿児島大学医学部教授 佐野 輝先生の開会のご挨拶の後、口演発表が開始されました。 前半の萌芽研究助成受領者5名の発表は佐野先生、後半の一般研究助成受領者5名の発表は 東京医科歯科大学医学部教授 西川 徹先生に座長を務めていただきました。遺伝子変異、 エピジェネティクス、分子マーカーなどと統合失調症などの精神疾患との関連を解析する分子生物学的な研究、 及びMRIやPETを活用して病態の解析を行う画像解析の研究など基礎的な研究テーマが目立ったと思います。

15:30からは同じく前年度の受領者による24題のポスター発表がテーマ別の5パートに分かれて行われました。 弘前大学医学部教授 兼子 直先生、近畿大学医学部教授 白川 治先生、徳島大学医学部教授 大森哲郎先生、 大阪大学医学部教授 武田雅俊先生 及び千葉大学医学部教授 伊豫雅臣先生に座長を務めていただきました。 前年度助成受領の先生方には、分子、細胞及び動物レベルの基礎的な研究から診断法及び治療法に関わる 臨床研究まで幅広い範囲の研究成果を発表していただきました。特に白川先生が座長を務められたうつ病 及び抗うつ薬に関するテーマのCパートでは、いくつかの発表で熱い討論が交わされ、うつ病が注目される 分野の一つであることが実感されました。

次いで、16:30から特別講演「抗精神病薬による治療と身体リスク ―患者さんの生命と健康を守るために―」 を新潟大学医学部教授 染矢俊幸先生にご講演していただきました。 座長は北海道大学医学部教授 小山 司先生に お願いしました。統合失調症患者では自殺や心臓突然死のリスクが健常人と比べて高いことが知られていますが、 その原因として抗精神病薬が大きく関わっていることが染矢先生のグループの研究から明らかになってきました。 特に薬剤に起因するQT延長や糖脂質代謝異常が虚血性心疾患に深く関わっていること、また、個人差はありますが、 抗精神病薬の種類により副作用の発現に大きな違いがあることも示唆されており、医師は処方する際に治療効果だけでなく、 副作用のプロファイルについても考慮し、副作用の予防と早期発見を常に意識する必要があると述べられました。 治療現場におられる先生方には非常に参考になる講演であったと思います。

講演終了後は昭和大学医学部教授 加藤進昌先生による乾杯のご発声で交見会が始まりました。ディスカッションの 続きをされる、旧交を温めるなど、有意義な一日を締めくくる和やかなひと時となりました。

討論中 ポスター会場 新潟大学染矢俊幸教授
ポスター会場 ポスター会場 染矢 俊幸教授(新潟大学)
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