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第46回 研究報告会

精神神経系薬物治療研究報告会

当財団の精神薬療分野の平成24年度助成金受領者に研究成果報告をして頂く、第46回精神神経系薬物治療研究報告会が平成25年12月6日(金)に大阪の千里ライフサイエンスセンターで開催されました。発表者・共同研究者及び財団役員等並びに聴講の方々を合わせて約110名の参加がありました。 今回は、平成23年度被災地支援研究助成の受領者3名並びに平成24年度の若手研究者助成受領者4名による口演、同じく一般研究助成受領者24名並びに若手研究者助成受領者6名によるポスター発表、及び徳島大学の大森哲郎先生による特別講演がありました。

被災地支援研究助成の成果報告(口演)
座長:佐藤光源先生 演者:松本和紀先生 和田 明先生 柿坂庸介先生
座長:佐藤光源先生 演者:松本和紀先生 和田 明先生 柿坂庸介先生

被災地支援研究助成の研究計画は2年間に亘るものであり、昨年の中間報告に続き、今回が最終報告となりました。座長は、この研究助成の選考委員を務められた佐藤光源先生(名誉理事)にお願いしました。東北大学・松本和紀先生は「東日本大震災後の宮城県の精神科医療機関における精神科医療の実態調査」、福島県立医大・和田 明先生は「福島県における大地震・原発事故複合災害の後の精神疾患の発生動向調査」、また、東北大学・柿坂庸介先生は「てんかん患者の被災直後の実態調査に基づいた災害に強い診療システムの提案」をそれぞれ報告されました。それぞれの地域と専門分野の医療について震災後の状況が明らかにされました。

座長を武田雅俊先生(理事)に交代し、引き続き若手研究者の口演4題が発表されました。うつ病関連2題、統合失調症関連2題でした。うつ病のバイオマーカーの同定及び脆弱性因子の探索、並びに、統合失調症の早期治療に関わるバイオマーカーの探索及び安静時代謝の予測式の比較検討が報告されました。

若手研究者助成の成果報告(口演)
座長:武田雅俊先生 演者:國本正子先生(名古屋大学) 杉山暢宏先生(信州大学) 切原賢治先生(東京大学) 菅原典夫先生(弘前大学)
座長:武田雅俊先生 演者:國本正子先生
(名古屋大学)
杉山暢宏先生
(信州大学)
切原賢治先生
(東京大学)
菅原典夫先生
(弘前大学)

ポスター発表は5パートに分かれて行われました。座長は、篠崎和弘先生(選考委員)、佐野 輝先生(選考委員)、白川 治先生(評議員)、加藤進昌先生(理事)、及び村井俊哉先生(選考委員)にお願いしました。DNAメチル化、遺伝子多型、ゲノムコピー数変異のようなゲノム解析やiPS細胞、メタボローム解析のような新しい技術を使って病因・病態解析をする、あるいは診断マーカーやバイオマーカーを探索する研究が目立ち、また、発達障害や自閉症に関する研究が増加傾向にありました。

ポスター会場 口演会場
ポスター会場 口演会場

特別講演は、樋口輝彦先生(理事)に座長をお願いし、大森哲郎先生(選考委員)に「血液をサンプルとするうつ病の生物学的マーカー ―我々の試みと最近の研究動向―」というタイトルでご講演頂きました。 大森先生は白血球のmRNA発現の変化に着目したうつ病のバイオマーカー探索に長年取り組んでこられました。DNAチップ、リアルタイムPCR、カスタム化PCRアレイなどによる各種解析検討の結果、いくつかの遺伝子の発現変動がうつ病と相関する可能性を見出されました。遺伝子発現変動に血清中のホルモンや神経栄養因子の量的変動を組み合わせる事により相関性が高まるようです。最近は白血球のDNAメチル化修飾に着目されており、健常者とうつ病患者を区別できる可能性が出てきました。 最後に、「血液成分は中枢の変化だけではなく体全体の変化の影響も受けているので、うつ病のバイオマーカーを血液成分に求めることが難しいことは承知しているが、血液の採取の容易さや上記各種測定がサンプル量数mlで可能である点で魅力的な素材です。」と締めくくられました。

特別講演
座長:樋口輝彦先生 演者:大森哲郎先生
座長:樋口輝彦先生 演者:大森哲郎先生
理事長挨拶
小峰健嗣理事長
小峰健嗣理事長

閉会の辞として、当財団の小峰健嗣理事長から、出席いただいた先生方への謝辞が述べられ、また、来年度も同じ規模の助成が計画されているので、是非、応募して頂けるようにとの挨拶がありました。

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