令和2年2月15日(土)にグランフロント大阪ナレッジシアターにて「人生100 年時代の生き方、自身の医療・ケアを考える」と題した市民公開講座を、一般社団法人 大阪府医師会、公益社団法人大阪府看護協会の後援を得て開催いたしました。
新聞の折込チラシにて募集を行い、付属の応募封筒、FAX およびQR コードから参加登録をしてもらいました。募集開始3日で定員を超えたことから応募を締切りました。
2月中旬は、日本国内での新型コロナウイルスが徐々に広がりつつありましたので、キャンセルが相次ぐかと危ぶまれましたが最終的に306名もの方に参加いただきました。
会場入口には、厚生労働省の感染症対策への協力願いのポスターを複数掲示し、アルコール消毒液およびマスクを用意し、参加者には手指の消毒とマスクの着用をお願いしました。
また、会の始めと終わりに、堀先生をはじめパネラーの先生方は新型コロナウイルスへの対策として、手洗い・うがいが極めて有効であり、是非とも習慣化を実現するよう求められました。
本講座は2部構成で実施し、第1部は福島県立医科大学医学部 疫学講座 主任教授の大平哲也先生に、「笑いと医療~こころとからだを癒す笑いの効果~」と題した講演をいただきました。
大平先生は受け身で笑うのではなく、笑うという行動そのものがストレス解消に有用であり、積極的に笑うことで生活習慣病や認知症を予防できることをわかりやすいデータを示しながら説明されました。特に、日常生活においてコミュニケーションが重要であり、ヒトとの会話を増やし笑いに繋げることが、健康寿命の延伸に貢献できると力説されました。また、「笑いヨガ」の普及に尽力されており、聴講者とともに楽しい実演が行われ、笑いと拍手が絶えない60 分間の講演時間があっという間に過ぎました。
第2部は「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)について」の講演および討論を行いました。
冒頭の講演では、国立長寿医療研究センター 在宅医療・地域医療連携診療部長の三浦久幸先生に「人生会議」とは何か、そのやり方、そしてなぜ「人生会議」が必要かをレクチャーしていただきました。
導入を受けてからの討論は、大阪国際がんセンター 名誉総長・大阪大学 名誉教授 堀正二先生(本財団理事)に進行役をお務めいただき、三浦先生、一般社団法人 大阪府医師会 茂松茂人会長、公益社団法人 大阪府看護協会 高橋弘江会長、一般社団法人 大阪市老人クラブ連合会 野口一郎理事長に参加いただきました。
ややもすると暗くなりがちなテーマではないかと心配しましたが、第1部の流れからか明るい雰囲気の中で順調に進みました。パネラーの先生方は「人生会議」が本人、家族、医療従事者のすべてにメリットがあることを強調されました。一方で、一人暮らしの老人や元気あふれる老人にとっては「人生会議」を開くこと自体が難しいという現状も紹介されました。最後に「人生会議」は生き方、暮らし方の話であり、かかりつけ医、看護師、介護士、家族を巻き込んで、繰り返し行うことが肝要であると締めくくられました。参加者の皆様には「人生会議」とは何か、ご自身は何から始めればよいかを知ってお帰りになられたのではないでしょうか。
終了後に頂戴しましたアンケートによりますと(回収率86%)、男女比2:3、年齢は49歳までが7%、50~60歳代が35%、70歳以上が58%、応募された主な動機は「演題に興味があったから」でした。
また、アンケートにご回答いただいた80%以上の方から、第1部、第2部ともに「大変満足」「満足」と評価していただきました。