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血液医学分野 「2022年度」

2022年度(第41回)
血液医学分野 一般研究助成金受領者一覧
<交付件数:21件、助成額:2,100万円>

血栓止血・血管機能(各種臓器の生理、病態など)とその関連領域

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
稲城 玲子
アブストラクト
研究報告書
東京大学医学系研究科 CKD病態生理学講座腎臓病患者エクソソームに基づく新たな血管恒常性維持機構の解明100
腎臓は形態・特性の異なる血管に富み、血管障害は慢性腎臓病(CKD)進展に深く関連する。一方で近年、細胞から分泌される膜小胞のエクソソームが細胞内シグナル伝達に関わることが示され、血管内皮細胞における病態生理学的意義が注目されている。申請者は「CKD患者血液中エクソソームは血管内皮障害を惹起する病態生理活性を有する」と仮説をたて、1)血中エクソソームの精製とその内包物のメタボローム解析、2)CKD 患者特異的なエクソソーム内包代謝物群の同定とそれらの血管内皮細胞に対する病態生理活性の解析を行い、エクソソームと血管内皮機能の関連性を検討した。その結果、CKD患者血漿エクソソームに特異的に内包される未知代謝物質Xを同定し、それが血管内補細胞障害を引き起こす可能性を示した。これら成果からエクソソームに基づく透析患者の合併症・生命予後を改善する新規バイオマーカー、あるいは治療戦略の開発が見込まれる。
柏倉 裕志
アブストラクト
研究報告書
自治医科大学医学部 生化学講座 病態生化学部門FVIIIの異所性発現におけるERストレス応答メカニズムの解明と血友病A治療への応用100
近年、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた血友病に対する遺伝子治療の有効性が複数の臨床試験から報告されている。しかし血友病A遺伝子治療では、時間経過と共に治療因子として導入した第VIII因子(FVIII)の発現が低下し、長期持続的な治療効果が得られない可能性がある。治癒を目的とした血友病A遺伝子治療の実現のためには、長期的に安定したFVIII発現が必須である。我々は、複数のアミノ酸変異導入により改変型FVIIIを構築し、ヒト肝臓細胞株Huh7においてFVIII発現時にERストレス応答が著減する低ERストレス応答型改変FVIII_Ver.4を得た。本研究では、この改変型FVIII_Ver.4の解析から、ヒト肝細胞株でのFVIII活性上昇・細胞内FVIIIタンパク貯留低減・低ERストレス応答に重要な変異導入部位を同定した。本研究の成果は、長期安定的な血友病A遺伝子治療や効果的な血友病Aゲノム編集治療に繋がるものと期待される。
山崎 泰男
アブストラクト
研究報告書
国立循環器病研究センター 分子病態部血管内皮細胞に含まれる分泌性膜小胞Weibel-Palade小体の形成機構の解明100
VWFは血管内皮細胞で合成される血小板粘着タンパク質である。VWFはWeibel-Palade小体(WPB)とよばれるオルガネラに貯蔵され、適時に血中へ分泌される。WPBはゴルジ体で形成される分泌顆粒であるが、形成機構には不明な点が多い。我々は最近、WPBにはV-ATPaseが局在することを見出した。VWFは一本鎖タンパク質として合成された後、止血能の高い巨大なマルチマーに変換されWPB内腔に貯蔵される。マルチマー化には酸性環境が必要であるが、細胞内における必要な酸性環境の形成メカニズムについては全く不明である。本研究では、WPB内腔pHを測定する方法を確立し、形成過程におけるWPB内腔pHの観察を試みた。その結果、細胞辺縁部に局在する成熟WPBの内腔pHはほとんど変化しないが、核近傍から形成される新生WPBの内腔は次第に酸性化することが判明した。
吉本 敬太郎
アブストラクト
研究報告書
東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系血液凝固因子の分子結合能を模倣するバイスペシフィック核酸アプタマーの設計と機能評価100
第V因子(FV)欠乏症はFVの欠乏による先天性血液凝固障害である。本研究では、血液凝固因子欠乏症の新たな治療薬として、核酸アプタマーに注目した。分子認識型核酸である核酸アプタマーは、(1) ホモ・ヘテロ連結二量体の設計と作製が容易、さらに (2) 相補鎖を用いて薬理活性の中和が可能という、血液疾患治療の作動薬として大きな魅力・特長をもつ分子である。DNA アプタマーは化学合成で安価に作製でき、常温輸送が可能で保存性が高く、感染症リスクや免疫原性が低いという特長をもつ。
 本研究課題では、血液凝固活性化第FVIII因子 (FVIIIa) および FVa の分子認識能を模倣するバイスペシフィック核酸アプタマーの創製に挑戦し、新規血友病治療薬としての潜在能力の検証を行った。その結果、FVaの分子認識能をバイスペシフィックアプタマーにより模倣し、トロンビン生成を促進させるという新たな二価性分子の創成に成功した。

輸血・細胞療法とその関連領域

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
加藤 貴康
アブストラクト
研究報告書
筑波大学医学医療系 血液内科・臨床検査医学‘脂質の質’をターゲットとした新規白血病治療法の開発100
急性骨髄性白血病(AML)の標準治療は副作用が強く、高齢者にも適用できる治療法が必要である。本研究は脂肪酸の質がAMLの治療標的になりうるか検討した。脂肪酸の組成が細胞内で異なることで細胞機能が調節されている。脂肪酸の炭素数を16から18に伸長する酵素ELOVL6が脂肪酸組成に影響を与えることから、Elovl6欠損(E6KO)マウスを用いて、脂肪酸組成が造血幹細胞やAMLに与える影響を検討した。E6KOマウスは骨髄細胞の脂肪酸組成が変化し、この骨髄細胞を正常マウスに移植しても骨髄での造血は観察されなかった。一方、AML誘導遺伝子を導入した野生型骨髄細胞を正常マウスに移植するとAMLを発症するが、AML誘導遺伝子をE6KOマウス骨髄細胞に導入し、マウスに移植してもAMLは発症しなかった。AML発症抑制の一因として、脂肪酸組成変化により細胞運動を司るシグナルが低減することも明らかにした。
黒田 純也
アブストラクト
研究報告書
京都府立医科大学 血液内科学教室造血器腫瘍に対する細胞免疫療法を強化するmiRNAインヒビターカクテル療法の開発100
B細胞性リンパ腫(B cell lymphomas: BCLs)や多発性骨髄腫(multiple myeloma: MM)などの成熟B細胞性腫瘍の克服に向け、キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T療法)などの細胞免疫療法への期待は高い。しかし、これらでは骨髄由来抑制系細胞(myeloid-derived suppressor cell; MDSC)によって抗腫瘍効果が損なわれる。本研究では腫瘍細胞由来エクソソームに含まれるmiR-106a-5pとmiR-146a-5pがMDSCの誘導を司ること、これらに対するインヒビターを天然型エクソソームに導入し末梢血単核球に暴露することでMDSC誘導を阻害出来ることを明らかにした。
知念 孝敏
アブストラクト
研究報告書
九州大学 病態制御内科学人工受容体研究によって挑む炎症と腫瘍の制御100
本研究では、胸腺におけるキメラ抗原受容体(CAR)発現細胞の分化条件とそのようにして分化したCAR発現細胞の性質を知る事を主たる目的として実験を行った。
マウス骨髄細胞に、CAR遺伝子を組み込み、マウス胸腺においてCAR発現T細胞を分化させる事を試みた。T細胞受容体を欠損するマウスの骨髄細胞に、レトロウィルスを用いてCAR発現コンストラクトを組み込み、この骨髄細胞を別のT細胞欠損マウスに移入し、CAR発現細胞の分化の有無を調べた。今回の検討では1. 胸腺においてscFvの認識する抗原が存在しないとCAR発現細胞の分化が起こらない 2. 胸腺に対応抗原が存在する場合には分化が見られ、CD4/CD8陰性のエフェクターT様細胞に分化するという傾向が見られた。こうした法則が他のscFvにも当てはまるのか、CARの基本骨格を変更した場合に異なる現象が見られないのかについて更なる検討が必要である。
中山 幸輝
アブストラクト
研究報告書
東京大学医学部付属病院 循環器内科心不全全身合併症の治療標的同定のための造血幹細胞ニッチの分子機構の解明100
心不全は多臓器合併症を伴い予後不良であるが、臓器横断的な病態基盤は明らかではない。心臓に常在するマクロファージは心臓保護的作用を持つが、心不全を繰り返すとその保護的作用が失われる。我々は、心不全になると造血幹細胞がエピゲノム変化を起こし、末梢血白血球分化様式が変容することを見出した。さらに、末梢血単球から、様々な臓器の組織マクロファージへの分化が障害され、炎症型表現型を呈することによって臓器の恒常性を破綻させることを明らかにした。そこで、造血ニッチである骨髄の間質性間葉系細胞(MSC)の表現型に注目した。網羅的発現解析や一細胞発現解析によって、心不全になるとMSCの脂肪分化が進むことが分かった。このことは病理学的検査や脂肪分化誘導実験でも確認された。心不全になると骨髄の構造的リモデリングが起きて、造血幹細胞の未分化維持に影響を与えることが分かり、心不全の新たな治療標的として挙げられた。

血液・血管に関連する再生医学

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
梅本 晃正
アブストラクト
研究報告書
熊本大学国際先端医学研究機構 造血幹細胞工学研究室クロマチン動態制御を基盤とした造血幹細胞のトロンボポイエチン作用決定機構100
Thrombopoietin (TPO) は造血幹細胞の自己複製誘導因子であるが、血小板への分化誘導因子としても知られている。しかし、造血幹細胞がこれら TPO の相反する作用を使い分ける機構に関しては未だ不明な点が多い。最近、申請者は「造血幹細胞の分裂後の運命は幹細胞各々のクロマチン動態によって既定されている」ことを見出している。本研究では造血幹細胞における TPO 刺激時の自己複製・分化の選択は主に幹細胞個々のクロマチン動態によって既定されていることを確認し、「幹細胞のTPO応答を既定するクロマチン動態の制御因子」を明らかにすることを目的とする。本研究では、グルタミン酸に関連する代謝制御が造血幹細胞の分裂誘導、並びに分裂時の幹細胞性の維持(自己複製)に重要であることが示唆された。
高橋 淑子
アブストラクト
研究報告書
京都大学大学院理学研究科 生物科学専攻血流マイクロダイナミクスが制御する血管リモデリングのしくみ100
血管ネットワークの成立に重要なステップである血管リモデリング機構の研究を進めた。特に血流メカノ刺激による制御に注目し、ニワトリ初期胚の利点をいかしてマクロコンフォーカル顕微鏡−ライブイメージング解析を中心として、[血流センサー]→[細胞内シグナリング]→[細胞挙動の変化]の素過程に分けて解析した。胚内の血流を局所的に停めるとリモデリングが異常になること、またこのとき、血流刺激センサーは細胞内シグナルを介して、RhoAを制御し、結果的に血管内皮細胞が剥離することがわかった。数理モデル構築にも取り組んだ。血流の局所的操作による疾患治療技術の開発につながる知見を得ることができた。
松村 貴由
アブストラクト
研究報告書
自治医科大学 炎症免疫研究部 兼 循環器内科ミトコンドリアに着目した老化造血幹細胞多様性のシングルセル解析100
老化造血幹細胞の多様性・不均一性をふまえ、ミトコンドリア量を可視化できるDendra2マウスの造血幹細胞に対しシングルセルRNAシークエンシング及びATACシークエンシングを施行した。老化マウスから得られた造血幹細胞では細胞周期関連遺伝子の発現が低下しており、特にミトコンドリア量の多い老化マウス由来造血幹細胞に著明であった。老化したマウスの造血幹細胞では、造血幹細胞の特定の亜集団が増加しており、この集団は、造血幹細胞の機能が特に低下した細胞集団であることが示唆された。また、別の細胞集団は、他の細胞集団よりも高い蛋白質合成能を示し、幹細胞機能が維持されている細胞集団であると考えられた。この細胞集団は老化マウスでも十分に保存され、若いマウスの造血幹細胞と類似した遺伝子発現とエピゲノム変化を示した。将来的には、高齢者からこのような造血幹細胞集団を選択する方法を確立したいと考えている。

感染・免疫・アレルギーとその関連領域

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
伊勢 渉
アブストラクト
研究報告書
大阪大学感染症総合教育研究拠点プラズマ細胞の移動と生存を制御する新しいメカニズム100
中和抗体の持続産生を担うのは骨髄に存在する長期生存プラズマ細胞であるが、リンパ組織で誕生したプラズマ細胞がどのようにして生存ニッチである骨髄へ移動するのかは不明であった。本研究ではまず、リンパ組織から流出し、骨髄へ移動するプラズマ細胞はインテグリンbeta7を高発現することを見出した。次に、インテグリンbeta7高発現プラズマ細胞は転写因子KLF2を高発現すること、KLF2を欠損するとプラズマ細胞のリンパ組織からの流出が阻害されることも判明した。これよりインテグリンbeta7高発現プラズマ細胞が転写因子KLF2依存的に骨髄の長期生存ニッチへ選択的に移動することが初めて明らかになった。
伊藤 量基
アブストラクト
研究報告書
関西医科大学 内科学(第一講座)樹状細胞の視点からのBCL-2ターゲット治療の免疫抑制機序解明100
BCL-2を標的とした治療戦略は、様々な悪性腫瘍に利用されているが、その強力なアポトーシス誘導能の反面、感染症が重要な有害事象である。その易感染機序を解明するため、本申請では、BCL-2阻害薬の作用を「樹状細胞」を標的とした実験モデルを構築し、特有な免疫応答能への影響を検討した。
臨床的血中濃度においてBCL-2阻害薬は、比較的高用量であっても、ミエロイド系樹状細胞には抑制の程度が低く、Th1抑制能は低く、その結果として、CTLに対する抗腫瘍効果への抑制も低い可能性が示唆された。また、BCL-2阻害薬は比較的低用量であっても、IFN-alpha産生を抑制したため、BCL-2阻害薬使用時にはウィルス感染に対する抵抗性が弱まると考えられた。
黒滝 大翼熊本大学国際先端医学研究機構 免疫ゲノム構造学研究室炎症性樹状細胞の感染防御と血球貪食症候群における役割の解明100
河野 通仁
アブストラクト
研究報告書
北海道大学病院 リウマチ・腎臓内科患者由来直接誘導ミクログリア様細胞を用いた精神神経ループスの病態関与100
 全身性エリテマトーデス(SLE)は若年女性に発症する自己免疫性疾患で様々な臓器病変を伴う。SLE患者の20~40%に精神神経ループス(NPSLE)が認められ、高次機能障害など後遺症を残す例も多い。病態は不明で、エビデンスのある治療戦略が立てられないのが現状である。近年NPSLEの病態にミクログリアが関わっていることが明らかとなってきたが、未だその詳細は明らかとなっていない。本研究ではミクログリアに注目しNPSLEの新たな病態を明らかにすることを目的とした。
まず健常者ならびにSLE患者の末梢血単核球からミクログリア様細胞(iMG)を誘導した。さらにSLE由来iMGにサイトカイン刺激を行ったところミクログリアは活性化し、遺伝子Xの発現が亢進した。遺伝子Xの阻害薬によりマウスミクログリアの活性化は抑制され、SLEモデルマウスに髄腔内投与したところ認知機能障害も改善した。遺伝子XはNPSLEの新たな治療ターゲットとなりうる。

柴田 彩
アブストラクト
研究報告書
東京大学大学院医学系研究科 皮膚科学エピジェネティクス制御因子を介したType3型の皮膚免疫異常100
代表的な皮膚疾患である乾癬はType3型の皮膚免疫異常を伴い、近年、乾癬患者の免疫細胞におけるエピジェネティクスの変化が報告されている。一方、エピジェネティクスの変化を引き起こしている制御因子や、その制御メカニズムについては分かっていない。本研究では、皮膚におけるType3型炎症を引き起こすエピジェネティクス制御因子につき、その役割を検討した。
Type3型炎症誘導時にエピジェネティクス制御因子と協調的に作用する転写因子を同定し、クロマチン免疫沈降法を用いて、両因子のゲノムへの集積部位が一致していることを見出だした。T細胞特異的エピジェネティクス制御因子欠失マウスを作成し、Type3型の皮膚炎を誘導したところ、皮膚炎の減弱がみられた。
これらの結果はエピジェネティクス制御因子と転写因子の相互作用が皮膚におけるType3型の皮膚炎の制御において重要であることを示唆するものである。

須藤 明
アブストラクト
研究報告書
千葉大学大学院医学研究院 アレルギー・臨床免疫学IL-17産生γδT細胞を制御するブチロフィリン蛋白の同定と免疫疾患治療基盤構築100
近年、ブチロフィリン(Btnl) 蛋白はγδT細胞分画の分化・増殖に関わることが明らかとなりつつある。しかしながら自己免疫疾患の増悪に関わるIL-17産生γδT(γδT17)細胞の分化や増殖に関わるBtnl蛋白は未だ不明である。これまでにγδT17細胞は胎生期胸腺で発生し、末梢に移動して自己増殖し維持され、成体胸腺からは成熟したγδT17細胞が分化しないことが明らかとなっていることから、本研究者はリンパ節で発現しているが、成体胸腺には発現しないBtnl分子がγδT17細胞の成熟や増殖に関わっているという仮説を立てた。そして上記条件に合致するBtnl分子としてリンパ管内皮細胞に発現するBtnX(仮称)を同定し、BtnX欠損マウスを作成した。その結果、BtnX欠損マウスではリンパ節および皮膚のVγ4陽性Vδ4陰性γδT17細胞が減少し、イミキモド誘発乾癬モデルが軽快することを明らかにした。
田中 真司
アブストラクト
研究報告書
東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科炎症性腎疾患において腎神経が果たす役割の解明100
腎臓を支配する神経は、脳から腎臓に情報を伝える交感神経(遠心性)と腎臓から脳に情報を伝える感覚神経(求心性)の2種類からなる。腎神経の束の中では2種類の神経が混在していることが多いため、両者を物理的に分けて選択的に操作することは不可能である。申請者の報告を含めた最近の報告では、感覚神経の刺激は炎症抑制・促進両方をもたらし得ることがわかってきた。本研究では、最新の技術を用いて腎感覚神経を選択的に操作し、炎症性腎疾患において腎感覚神経が果たす役割を解明することを目的とした。結果としては、腎臓感覚神経の選択的除神経およびlabelingに成功した。今後は、確立したプロトコルを用いAAVを腎臓に微小注射し、腎臓感覚神経の選択的抑制・刺激を行い、これらの選択的操作の効果を炎症性腎疾患モデルで検証する計画である。
藤原 英晃
アブストラクト
研究報告書
岡山大学病院 血液・腫瘍内科免疫性細胞障害による新たな細胞死から組織を守る癌治療法の確立100
 免疫チェックポイント阻害療法(ICI)はその抗腫瘍効果が期待される一方で、免疫の過剰反応が組織傷害を発生し、治療中止を余儀なくされる。一旦発症すると、高齢者は体力的負担が著しく回復困難となる。ICI治療における組織障害の機序は不明でありフェロトーシスやパイロトーシスという新たな細胞死の観点から、従来のアポトーシスとは異なる組織傷害メカニズムを解明・介入することで免疫細胞による細胞傷害への抵抗性を向上させる安全かつ効果的ながん治療法を確立させることを目的とする。
細川 裕之
アブストラクト
研究報告書
東海大学医学部 基礎医学系 生体防御学Notchシグナルが転写因子PU.1の機能をダイナミックに変化させる分子基盤100
ガン遺伝子PU.1 は様々な血球細胞の発生や機能を制御する転写因子で、様々な免疫細胞において細胞系列特異的なターゲット遺伝子の発現を制御する。PU.1の機能や発現量は血球細胞の系列や、発生段階によって厳密に制御されている。我々はこれまでに、T前駆細胞におけるPU.1会合分子のプロテオミクス解析やPU.1およびPU.1会合分子のChIP-seq解析を行うことで、PU.1がT前駆細胞特異的な機能を発揮する分子メカニズムやT前駆細胞の発生に伴ってPU.1の発現がタイミングよく抑制される分子メカニズムを明らかにしてきた。本研究では、リンパ球前駆細胞がNotchシグナルを受け取り、T前駆細胞へと分化する際にダイナミックなPU.1の機能変化が誘導される分子メカニズムの解明を目指し、Notchシグナルを受け取る前後でPU.1会合分子のプロテオミクス解析、およびPU.1結合ゲノム領域の網羅的同定を行った。
本田 知之
アブストラクト
研究報告書
岡山大学学術研究院医歯薬学域外来性ウイルスによる内在性ウイルスを介した神経機能異常の解明100
ウイルス感染症には中枢神経系の機能異常を呈するものがある。抑うつ症状や意欲の低下などは、多彩なウイルスによって引き起こされる。このことから、ウイルス感染に共通の因子が存在し、それが神経機能異常を誘導すると考えられる。神経機能異常をもたらしうる因子として、内在性レトロウイルス配列(ERV)が考えられる。ERVは外来性のウイルスとは独立した宿主側の存在である。様々な外来性ウイルス感染により共通のERV変化を起きるなら、神経機能異常が類似する理由を説明できる可能性がある。本研究では、神経機能異常を引き起こす外来性ウイルスであるボルナウイルス(BoDV)をモデルとして、この可能性を検証した。BoDV感染は、特定のERVサブクラスを誘導した。そのERVが神経系ERVサブクラスを誘導し、神経系トランスクリプトームに異常をもたらすことも見出した。見出したERVは、神経機能異常の新しい治療標的になりうる。

2022年度(第2回)
血液医学分野 COVID-19関連一般研究助成金受領者一覧
<交付件数:3件、助成額:300万円>

感染・免疫・アレルギーとその関連領域

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
石田 竜弘
アブストラクト
研究報告書
徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域) 薬物動態制御学分野COVID19ワクチン投与による抗PEG抗体の誘導 とアナフィラキシー反応に関する研究100
COVID-19 mRNAワクチンに含まれるPEGに対する免疫反応とその誘導機構の解明を通じ、本ワクチン投与時に生じるアナフィラキシーショック誘導機構の解明を目的として検討を行った。血中の抗PEG IgMは、投与部位(筋組織)のmRNAワクチンには影響しづらく、抗スパイク抗体の誘導を抑制することはないが、血中に漏出したmRNAワクチンを捕捉して補体系を活性化することで、補体受容体を介した肝マクロファージによる取り込みと分解を促進する事が示された。本検討から、mRNAワクチン投与時のアナフィラキシー様反応の原因の一つとして、mRNAワクチンの構成成分であるPEGに対する抗体の誘導とこの抗体が誘導する補体活性化が重要な役割を果たしている可能性が明確となった。世界的なmRNAワクチン投与数の増加に比例して致死性の副反応発症の報告もあり、関連の研究はmRNAワクチンに対する潜在的な忌避感を回避することにも役立つため、本研究の意義は大きい。
植木 紘史
アブストラクト
研究報告書
東京大学医科学研究所 ウイルス感染部門2光子生体イメージングで解明するCOVID-19肺炎の病態メカニズム100
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の重症例では免疫細胞の肺浸潤が認められ、病態の増悪に関与することが示唆されている。SARS-CoV-2の感染部位における病原性発現メカニズムを解明するためには、ウイルス感染個体の体内で起きている様々な生理学的事象を可視化して解析する必要がある。本研究では、我々が開発した生体肺イメージングシステムを用いることでSARS-CoV-2感染肺における病態生理学的変化を高解像度で観察することに成功した。SARS-CoV-2感染肺では肺血管中の免疫細胞の数が増加し、血小板との複合体による微小血栓が形成されることで病態の増悪に寄与している可能性が明らかとなった。生体イメージング法を用いて感染微小環境を観察することで従来の組織学的な解析では見出すことのできなかったSARS-CoV-2感染肺における免疫細胞応答の一端が明らかとなった。
新中須 亮
アブストラクト
研究報告書
愛媛大学 学術支援センター 医科学研究支援部門 感染症研究支援分野SARS関連ウイルス万能B細胞の効率的活性化誘導のためのヘルパーT細胞抗原設計法の確立100
新型コロナウイルスに関する懸念は、新たなパンデミックが発生することである。そのため、ユニバーサルワクチンが存在することは有益である。申請者は、これまで広域交差反応性中和抗体の効率的誘導法の確立を目指して研究を行い、SARS-CoV2スパイクRBDコア領域を標的とした改変RBD抗原が、SARS類縁ウイルス交差反応性抗体の誘導に効果的であることを明らかにしてきた。しかしながら、この抗原にはヘルパーT細胞を活性化できる抗原エピトープが乏しいことが問題として存在していたことから今回、ヘルパーT細胞新規抗原探索・設計法確立を目標に研究を開始した。探索に際してはTfh細胞のもつTCRに注目し、結果、スパイク蛋白S2領域に存在する2カ所のエピトープ領域の同定に成功した。現在は、同定したTエピトープ抗原について、改変RBD抗原との融合蛋白を作製中であり、今後ワクチン接種による評価試験を実施する計画である。

2022年度(第24回)
血液医学分野 若手研究者助成金受領者一覧
<交付件数:11件、助成額:1,100万円>

血栓止血・血管機能(各種臓器の生理、病態など)とその関連領域

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
高橋 智子
アブストラクト
研究報告書
慶應義塾大学医学部 解剖学遺伝子改変マウスを用いた歯周病態イメージング解析による新生血管の同定100
歯周組織は、生体において歯に加わる咬合力、食物の刺激や温度の急激な変化、さらには細菌の侵入という過 酷な環境に適応するために特徴的な構造を有した歯の支持組織である。歯周組織に生じる疾患の総称である歯周病が歯を喪失する1番の原因であることが報告されている一方で、歯周病に対する予防や治療法の開発は十分に進んでいるとは言い難い。これら開発が遅れていた理由として、歯周病が細菌因 子、宿主因子、環境因子が影響して発生、進行する多因子性疾患であることや、硬組織を含む歯周組織の可視化解析によるメカニズム解明が困難とされることが挙げられる。このような背景の中、申請者は最近、硬組織における可視化技術を開発し、歯の硬化に関わる血管細胞集団を同定した。本研究では硬組織下における血管立体構造を可視化する独自技術を用いて、歯周病態における血管新生の関与やその特性解析を行うことを目的とする。
長屋 聡美
アブストラクト
研究報告書
金沢大学医薬保健研究域 保健学系遺伝子組み換え型活性化プロテインCの細胞保護効果と治療への応用100
活性化プロテインC (APC)と内皮細胞プロテインC受容体 (EPCR)との親和性が細胞保護効果に及ぼす影響を解明するため、EPCR親和性低下型APCとしてはR189Qを、EPCR高親和性型APCとしてはS45LおよびR51Lを作製した。PC安定発現細胞株の培養上清からPC精製を試みたが、充分量のPCが取得できたのはWTとR189Qのみであった。R189QのAPCアミド分解活性はWTと大きな差はないと推測された。PCとEPCRの固相結合実験の結果、R189Qの親和性が有意に高い結果となった (p<0.001)。EPCRとの結合実験は、Gla化効率の違いや、3×FLAGによる構造的な影響も含まれている可能性がある。今後、正確なKD比較のため、表面プラズモン共鳴法を用いた測定を行う。EPCR高親和性型APCが作製できれば、新たな抗炎症治療薬の開発につながる可能性がある。また、細胞保護効果の減弱による血栓形成メカニズムが解明されれば、血栓症治療薬の新たなターゲットとなりうると考える。
久田 諒
アブストラクト
研究報告書
北海道大学病院 リウマチ・腎臓内科細胞内代謝、特にGlycolysisを標的とした抗リン脂質抗体症候群の新規治療開発100
抗リン脂質抗体症候群(APS)は血栓症や習慣性流産を引き起こす自己免疫疾患で、単球の活性化が病態に寄与している。現在の主な治療は抗血栓療法による対症療法にとどまっている。本研究では、単球の細胞ラインTHP-1に抗リン脂質抗体を添加し、その活性化と解糖系の変化を評価した。結果として、抗体の添加によってTHP-1の解糖活性が増加し、解糖経路阻害薬が単球活性化を抑制することが明らかとなった。これは、解糖経路を標的とする新しい治療法の可能性を示唆しており、APSの治療に重要な意味を持つと考えられる。
丸山 慶子
アブストラクト
研究報告書
国立循環器病研究センター 分子病態部Protein S遺伝子のイントロン1に潜む未知の発現調節機構の解明100
プロテインS(PS)は、肝細胞や血管内皮細胞などで合成され、活性化プロテインCや組織因子経路インヒビターの補因子として働き、血栓形成を抑制する。ヒトPS遺伝子PROS1は全長約100 kbpで15個のエクソンからなり、イントロン1が約46 kbpと非常に長いという特徴をもつ。本研究では、転写活性解析により、ヒトPS遺伝子のイントロン1内に3カ所のエンハンサー領域および3カ所のサイレンサー領域を同定した。さらに、イントロン1欠失マウスを作製し、イントロン1がマウス個体においても発現調節に関与することを明らかにした。

輸血・細胞療法とその関連領域

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
安藤 眞
アブストラクト
研究報告書
慶應義塾大学医学部 微生物学免疫学教室T細胞疲弊の制御によるリプログラミング法の開発と固形がん治療への応用100
CAR T細胞の幹細胞性の喪失や疲弊化は、固形癌を標的としたCAR T細胞療法の大きな障壁となっている。我々は、これらの課題を解決すべく疲弊化と幹細胞性に焦点を当て、異なるアプローチによるヒトCAR T細胞のリプログラミング法の開発に取り組んだ。我々は、NR4Aの遺伝子欠損やドミナントネガティブNR4Aの遺伝子導入によって、疲弊抵抗性CAR T細胞を作製することに成功した。さらに、幹細胞様CAR T細胞の主要制御因子としてFOXO1を同定した。上記のNR4A編集CAR T細胞およびFOXO1導入CAR T細胞は優れたミトコンドリア代謝を有しており、固形がんモデルマウスおいて強力な抗腫瘍効果を示した。以上より、疲弊化因子NR4Aの機能阻害および幹細胞様因子FOXO1の活性制御は、固形癌を標的としたCAR T細胞療法の開発戦略として極めて有望であると考えられる。
伊藤 雄介
アブストラクト
研究報告書
愛知県がんセンター研究所 がん医療創生基盤開発領域 腫瘍免疫応答研究分野がん微小環境を複合的に制御するナノ粒子プラットフォーム開発100
がん免疫療法の効果を高めるには、固形腫瘍が作り出す免疫抑制性の微小環境(TME)における免疫抑制シグナルを解除することが重要である。我々の研究室では、免疫制御分子を複数同時に搭載するナノ粒子の技術を開発しており、本研究ではこの技術を端緒として、腫瘍局所で複数のシグナルを同時に賦与し、TMEを改変するナノ粒子の開発を目指した。IL-12やIL-18などのサイトカイン、免疫チェックポイント阻害抗体などを同時にナノ粒子に搭載することで、個別の抗体医薬・薬剤では得られない複合的な刺激を誘導し、多面的にTMEを改変できることを示し、in vivoの実験系で生存延長効果を認めた。このナノ粒子は、従来の免疫療法が効きにくい固形腫瘍に対して有効な治療法になり得る。
齋藤 清香
アブストラクト
研究報告書
熊本大学国際先端医学研究機構 幹細胞プロテオスタシス研究室貧血ストレスに対する造血幹細胞の応答機構の解明100
多くの成体造血幹細胞は骨髄内で静止期に置かれているが、様々な造血ストレスに応答するために増殖を亢進し、かつ特定の血液細胞に偏った造血を行うことが明らかとなっている。赤血球は毎日約2000億個が新たに産生されており、体全体の80%を占める細胞であるが、急性貧血ストレスに対する造血幹細胞応答は明らかになっていない。赤血球造血に重要な転写因子であるGata1やエリスロポエチン受容体などは造血幹細胞では発現しておらず、造血幹細胞が急性貧血に応答するならば未知の制御機構が介在していると考えられる。そこで、本研究では急性貧血ストレスに対する造血幹細胞の応答と赤血球分化制御メカニズムを解明することを目的とした。

感染・免疫・アレルギーとその関連領域

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
安部 佳亮
アブストラクト
研究報告書
筑波大学 血液内科大規模マルチオミクス解析によるリンパ腫免疫環境変化の探索100
濾胞性リンパ腫は発生頻度が高く、再発率が高い。近年、腫瘍浸潤T細胞の重要性が認識されているが、どういった特徴を持つT細胞がより直接的な影響力を有しているのかは理解されていない。本研究では、シングルセルRNAシーケンスによる腫瘍浸潤T細胞の解析、ヒトサンプルを用いた生物学的特性についての実験、多重免疫染色・空間解析の多数例への適応を実施し、濾胞性リンパ腫に特異的に増加している特徴的なT細胞集団を複数同定した。これらの細胞は特異的な病理学的分布パターンを示し、さらにin vitroの実験結果から抗リンパ腫活性を有していた。さらに、これらの細胞の割合は有意に濾胞性リンパ腫患者の予後と関係しており、独立した予後予測因子として同定された。これらは濾胞性リンパ腫の病態の理解に役立つ知見であり、今後の臨床的マネジメントを飛躍させる一助となることが期待される。
佐伯 法学
アブストラクト
研究報告書
愛媛大学プロテオサイエンスセンター 病態生理解析部門マクロファージを基盤とした関節リウマチに生じる性差機構の解明100
関節リウマチは病態に性差が認められ、女性ホルモンが発症や病態に関与していると考えられているが詳細な分子機構は不明である。本研究では、滑膜Møに発現するエストロゲン受容体(ERα)の機能に着目し、関節リウマチにおける病態性差機構を、遺伝子改変マウスを用いた関節炎病態解析・シングルセルRNA-seq解析・細胞内代謝解析等の手法で明らかにすることを目的とした。研究成果により、末梢血由来Møではなく、滑膜Møに発現するERαシグナルは関節炎病態下において細胞内代謝の異常亢進を呈することでアポトーシスを起こすことが示唆された。エストロゲンの存在により滑膜Møが欠落しやすいことが女性で関節リウマチの多い一因になると考えられる。
鈴木 秀文
アブストラクト
研究報告書
横浜市立大学大学院医学研究科 分子生物学分野転写伸長因子MED26の異所性液滴形成が混合型急性白血病を引き起こす分子機構の解明100
腫瘍性疾患をはじめとする様々な疾患において、RNAポリメラーゼIIの転写調節の破綻が疾患の発症に関与する。メディエーター複合体のサブユニットMED26は、RNAポリメラーゼIIの転写調節に必須な因子であるが、染色体転座の結果生じるMLL融合タンパク質によってMED26が白血病関連遺伝子領域にリクルートされることで、白血病関連遺伝子が活性化されている可能性が考えられた。本研究では、MED26がMLL融合遺伝子と協働して転写を活性化すること、そして、MED26は天然変性領域を介して液滴を形成することが明らかとなった。これらの結果から、MED26の異所性液滴形成が、MLL融合タンパク質による白血病遺伝子の転写活性化に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。
森 大輝
アブストラクト
研究報告書
大阪大学感染症総合教育研究拠点 感染症・生体防御研究部門 生体応答学チーム濾胞性ヘルパーT細胞の記憶細胞分化機構の解明100
 T細胞は感染応答などで活性化され、さまざまな免疫細胞を助ける役割を担う”免疫応答の司令塔”のような細胞である。その中でも濾胞性Tヘルパー細胞 (Tfh細胞) と呼ばれるサブセットは、B細胞の活性化を助け抗体の親和性成熟などに重要であることが知られている。しかしこのTfh細胞が効率よくB細胞活性化を補助する機序の詳細はあまり明らかではない。本研究では、マウス感染モデルでの抗原特異的T細胞の解析を行い、抗原認識機構がTfh細胞分化や運命決定に与える役割を解析した。その結果、感染応答に伴って優位に増殖するクローンは、Tfh細胞だけでなく他の異なる細胞型にも分化する能力を持つことが明らかとなった。このような機構によって生体は免疫応答の多様性を担保していると考えられる。今後は、これらの詳細な分子メカニズムを解明する研究を遂行し、効率の良い免疫応答誘導法などの開発に貢献できることを目指した研究を行う予定である。

2022年度
血液医学分野 若手研究者継続助成金受領者
<交付件数:1件、助成額:100万円>

血栓止血・血管機能(各種臓器の生理、病態など)とその関連領域

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
藤原 隆行
アブストラクト
研究報告書
東京大学医学部附属病院 循環器内科時空間的マルチスケールイメージングによる難治性循環器疾患の病態解明 100
難治性血管疾患である肺動脈性肺高血圧症および大動脈瘤・解離症候群の病態解明のため、我々は三次元可視化システムを用いた血管構造の立体解析の確立、およびヒト原因遺伝子の導入による疾患モデルマウスの作成を試みた。組織透明化技術CUBICならびに多光子顕微鏡を用いた三次元可視化システムでは、肺血管・大動脈の三次元構造を臓器全体から微細構造に至るまで描出することに成功した。またヒト疾患家系における遺伝子変異の導入およびそのほかの遺伝子変異の組み合わせにより、新規PAHおよびTAADモデルマウスの作成に成功した。その一部においては三次元的な病態像の描出に成功し、また網羅的解析より、慢性炎症やDNA損傷がその病態に関与している可能性が示唆され、新規治療法の探索のため、さらなる病態解明を推し進めていきたい。

2022年度 (第40回)
血液医学分野 海外留学助成金受領者一覧
<交付件数:1件、助成額:500万円>

(五十音順、敬称略)
研究者名所属機関研究課題助成額
(万円)
(留学先)
高田 剛東北大学大学院医学系研究科 環境医学分野NADPHオキシダーゼおよびNO合成酵素による超硫黄活性化と感染防御機能の解明500
Department of Physiology Indiana University School of Medicine, U.S.A.
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